なぜに松葉杖で練習するのですか?
歩行練習を行うのにどの道具を使用するかが、その後の運動改善や進歩のスピードに影響していることを忘れてはなりません。
歩行練習用介助には、杖・歩行器・平行棒など、多種多様の道具があります。また幼児や低学齢児では、骨盤介助での歩行練習を行っているセラピストもいます。
私は、歩行が不可能と思われる子どもから、杖を握ることのできない子どもなどまで、このLS-CC松葉杖訓練法を知らない人が不思議と思われるような子どもに、松葉杖を使って歩行に結びつけています。
脳性麻痺を中心とした中枢神経疾患麻痺児と、知的障害などに伴う運動発達遅滞児の運動機能を伸ばす時に、一つの問題があります。それは、善悪の点に関係無く、一度覚えた行動パターンを他のパターンに変えることに、かなりの努力と時間を要する事です。
歩行練習に入り、いずれ独歩か杖歩行となるケースに対して、歩行器や平行棒を使っているとその後に杖歩行に結びつけようとした際、新たなパターンを覚えてもらうことになります。
反面、最初から杖歩行の練習を行っていれば、そのままの指導の継続で歩行へと結びつきます。
現在多く使われている杖に、前腕杖(ロフストランドクラッチ)があります。
前腕杖と松葉杖の違いは、杖を持って立った時の立位バランスや歩行バランスが異なる点です。前腕杖では、肩と肘の関節の動きをバランスの確保に使うことができます。松葉杖では、腋窩でバランスの確保を行うためにその比較において、バランス練習を行うには松葉杖が適していると考えられます。
私の松葉杖の使い方には、幾つかの特徴があります。その特徴は上肢機能が悪くても、松葉杖を使うことが容易であるように工夫されています。
1 腋窩受けが三日月状にカットしてあります。これは、腋から松葉杖がはずれないようにしたものです。このカットの他に、たすき紐を使い腋から松葉杖がはずれないように二重に安全を確保しています。松葉杖での歩行が上達してきたときには、このたすき紐が転倒予防の安全確保紐となります。
2 上肢機能が悪くて、平行棒や歩行器・各種杖を握ることができずに、悩んでいたケースにも松葉杖が使えるように工夫しています。それは、松葉杖の握り部分に紐やバンド・ベルトを使って、固定することが可能となったからです。この固定法を使うことによって、上肢機能の善悪に関係無く、松葉杖を使うことができます。
杖歩行から独歩に至るケースで、前腕杖でも松葉杖でも見ることができます。松葉杖使用者が前腕杖使用者より確率において高いと思われます。
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製作 LS-CC松葉杖訓練法 湯澤廣美